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青い残り火
第8章 第8章
千紗は「きゃーっ、そんなこと出来ないよ」と顔を赤らめ、からかう桃香と芽衣に小さくこう言った。
「渋谷に言われたの。"ホントは手とか繋ぎたいんだけど、千紗ちゃんが本当に繋ぎたいって思ってくれた時に繋ぐよ。俺はそういうのを大事にしたいから"って。……なんだか恥ずかしくて、何も出来ないの」
「へぇー、渋谷ってマジいいヤツ。千紗の事が大切なんだね」
桃香が羨ましそうに言うのを、芽衣は複雑な気持ちで聞いていた。
大切さなんて一人一人違う
だって、一馬は初デートですぐに手を繋いでくれたし、部屋に連れてってくれた
そこで愛されて嬉しかったもの
それでも芽衣の気は晴れない。
いくら記憶を辿っても、一馬に大切にされていると自信を持って言えるエピソードがなかった。
嬉しいと思える時間はたくさんあっても、それとこれとは違う気がする。そのうえこの頃はデートも出来ず、メールの返信さえ遅れがちで素っ気なさを感じていた。
「渋谷に言われたの。"ホントは手とか繋ぎたいんだけど、千紗ちゃんが本当に繋ぎたいって思ってくれた時に繋ぐよ。俺はそういうのを大事にしたいから"って。……なんだか恥ずかしくて、何も出来ないの」
「へぇー、渋谷ってマジいいヤツ。千紗の事が大切なんだね」
桃香が羨ましそうに言うのを、芽衣は複雑な気持ちで聞いていた。
大切さなんて一人一人違う
だって、一馬は初デートですぐに手を繋いでくれたし、部屋に連れてってくれた
そこで愛されて嬉しかったもの
それでも芽衣の気は晴れない。
いくら記憶を辿っても、一馬に大切にされていると自信を持って言えるエピソードがなかった。
嬉しいと思える時間はたくさんあっても、それとこれとは違う気がする。そのうえこの頃はデートも出来ず、メールの返信さえ遅れがちで素っ気なさを感じていた。