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青い残り火
第8章 第8章
私の事を避けてる?
私、なにか気に入らないことした?
俯いて歩く芽衣の肩を桃香と千紗の明るい声がつついた。
「おはよう」
「おはよう芽衣」
相変わらず元気な二人を疎ましく感じたが、芽衣は「おはよう」と明るく言った。
「ねえ芽衣これ見て、一馬のラブレター」
千紗が薄い花模様のメモ用紙を一枚、芽衣の胸元で開いて見せた。
「なんなの?」
「あはっ、これは、私の字なんだけどね。国語の西崎先生が島崎藤村の"初恋"を例に上げてさ、私達に固有名詞なしで詩を作るっていう課題を出したの。昨日それをみんなの前で発表したんだよ。これ、一馬が芽衣に宛てた熱烈ラブレター。私、聞きながら必死に書き写したの」
「千紗の詩も素敵だったよ」
桃香が口を挟んだ。
「鈴木のもね、ふふっ」
「……言わないでよぉ」
二人の会話はどうでもよかった。
芽衣は立ち止まり、千紗からメモ用紙を受け取った。シャープペンシルで走り書きされた丸い文字を追うと、二人も横からそれを覗き見た。
私、なにか気に入らないことした?
俯いて歩く芽衣の肩を桃香と千紗の明るい声がつついた。
「おはよう」
「おはよう芽衣」
相変わらず元気な二人を疎ましく感じたが、芽衣は「おはよう」と明るく言った。
「ねえ芽衣これ見て、一馬のラブレター」
千紗が薄い花模様のメモ用紙を一枚、芽衣の胸元で開いて見せた。
「なんなの?」
「あはっ、これは、私の字なんだけどね。国語の西崎先生が島崎藤村の"初恋"を例に上げてさ、私達に固有名詞なしで詩を作るっていう課題を出したの。昨日それをみんなの前で発表したんだよ。これ、一馬が芽衣に宛てた熱烈ラブレター。私、聞きながら必死に書き写したの」
「千紗の詩も素敵だったよ」
桃香が口を挟んだ。
「鈴木のもね、ふふっ」
「……言わないでよぉ」
二人の会話はどうでもよかった。
芽衣は立ち止まり、千紗からメモ用紙を受け取った。シャープペンシルで走り書きされた丸い文字を追うと、二人も横からそれを覗き見た。