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青い残り火
第9章 第9章
前を行く男と女はただの知りあいには見えない。
腕を組んで男の肩にもたれ掛かる女と時折視線を交える男。恋愛関係のようではあっても、一見して分かる二人の年の差からは、不道徳な妖しさを嗅ぎ分ける事ができる。

一馬は確かめたかった。部活の練習着を詰め込んだバッグを肩に掛け、距離をとりながら後をつけた。

平日の昼間に男といるという事は、真琴さんは銀行員ではなくなったのか……

真琴の部屋で鉢合わせした男の形相が浮かぶ、と同時に、"真琴は同じ事を繰り返す"と言った理恵子の言葉が蘇った。

ん?

二人が立ち止まった。男が携帯電話を取り出し画面を確認している。すぐに人指し指を唇に当てて真琴に目配せをすると、背中を向け、歩道の端に寄って話し始めた。
手持無沙汰になった真琴は退屈そうに辺りを見回し、追ってきた一馬を認めるとこちらに向き直った。

ヤバい、見つかった

立ち止まった彼の目に、携帯電話を操作する真琴が見える。すぐに彼の携帯が短く震えた。

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