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青い残り火
第10章 第10章
二人は無言で見つめ合っていた。芽衣は声を立てないように口を押え、目を丸くして立ちすくんだ。

シャツのボタンを外し、逞しい胸板を覗かせた三島が女を後ろから抱きすくめた。
肌が触れ合った二人は更に熱く唇を求め合った。その刺激的な光景に、芽衣の胸は高鳴った。そしてどこかで、神谷由香利を見下した。

繰り広げられているのは、愛し合う大人のいとなみだった。切なさをたたえた女の瞳は、全てを受け入れる慈愛に満ちていた。
三島の恋人が訪ねてきたのだと察した芽衣は、ネットに晒されている破廉恥な動画とは違う生々しさに我を忘れた。
二人は激情を押し殺し、平静を保とうとしているようだった。

お願い、お願い、お願い……

耳にこだましている儚い声が、愛欲のシーンを官能的に描き出している。芽衣は、自分の身体が早くから反応している事に気付いていた。
耳元に舌を這わせながら、男の手が乳房を包んで揉みしだいた。その先端を摘ままれ、ぴくりと腰を震わせる女の身体が、自分の身体のように思えてくる。

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