この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
青い残り火
第11章 第11章
明かりの漏れる三階を芽衣が指差した。
「あそこの廊下に落ちてたの。探してるかもしれないから、西崎先生に持っていってあげて。私、先に帰るね」
「あ、ちょっと芽衣っ……」
「急いでね」
芽衣は昇降口の方へ駆けて行ってしまい、一馬の手には辞典が残された。
どういうこと?
見つめても答えは出ない。階段を上りながら、彼は渋谷から聞いた三島の話を思い出した。
人物画……
辞書がモデルなのか
あり得ない事ではない。誰であろうと本当の彼女を目の当たりにしたなら、見方が百八十度変わると一馬は確信している。
神谷とはどうなってるんだよ
あの野郎……
三階に着いた一馬は奥に見える明かりへと引き寄せられていった。
まさか裸婦画なんか描いてないよな
ふっ、辞書が許すわけないか
それに、裸なら芽衣が何か言った筈だ
美術室は暗く、その奥の準備室は明るかった。
彼は、三島の描く人物画を見てみたかった。そしてそこに西崎がいるなら、先生これ落ちてたよ、と言い、二人に割り込むつもりでそっと中を覗いた。
「あそこの廊下に落ちてたの。探してるかもしれないから、西崎先生に持っていってあげて。私、先に帰るね」
「あ、ちょっと芽衣っ……」
「急いでね」
芽衣は昇降口の方へ駆けて行ってしまい、一馬の手には辞典が残された。
どういうこと?
見つめても答えは出ない。階段を上りながら、彼は渋谷から聞いた三島の話を思い出した。
人物画……
辞書がモデルなのか
あり得ない事ではない。誰であろうと本当の彼女を目の当たりにしたなら、見方が百八十度変わると一馬は確信している。
神谷とはどうなってるんだよ
あの野郎……
三階に着いた一馬は奥に見える明かりへと引き寄せられていった。
まさか裸婦画なんか描いてないよな
ふっ、辞書が許すわけないか
それに、裸なら芽衣が何か言った筈だ
美術室は暗く、その奥の準備室は明るかった。
彼は、三島の描く人物画を見てみたかった。そしてそこに西崎がいるなら、先生これ落ちてたよ、と言い、二人に割り込むつもりでそっと中を覗いた。