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青い残り火
第11章 第11章
一馬は今知る限りの女性器の有り様を思い描いて呼吸が荒くなった。

ヤツは支えている手の左右の親指で、あそこを思いきり開いてる
そして……そこに長い舌を……

彼はすぐにでもあの布を剥ぎ取ってしまいたかった。だが女の正体を暴くのは恐ろしく、一方で、大人の男のやり方を見たいという好奇心にかられた。

あの女は辞書じゃない

そう決めつけた。

彼は目を見開き、見えないものを見た。
男の頭が右に傾けば、右の花弁の溝を舌が深く抉っているのが見え、頭がじっと動かなければ、可愛らしい蕾を舌先でいたぶっているのがわかった。
男が唇を押し付け、溢れる愛液を吸い上げても女は叫ばなかった。ただ、その身体が仰け反り、腰が激しくくねるのは、充分な快楽を与えられている証しだった。

相手の名を呼ぶことも、男を求める卑猥な言葉もなかった。

彼らは、社会科の授業で観た無声映画の主人公のように哀れでもの悲しく、白と黒の世界で赤裸々な濡れ場を演じていた。
その沈黙が、激しくいきり立つ一馬の暴走を押し留めた。
静寂を破って鳴り響いていたのは、一馬の鼓動だけだった。

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