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青い残り火
第11章 第11章
一馬は焦った。これが公になったらどうなるのか、あの二人は学園にいられるのか、教師でいられるのか。

だが現時点では何一つこれまでと変わらず、神谷由香利は嬉々として三島の後を追い、女子生徒の笑いを誘った。
西崎の授業はいつものように静かに進められ、夏休み前に提出した課題は、作者である生徒達に返却された。

「藤村一馬さん」

「はい」

教卓にはあの辞典が置かれていた。

「藤村さんは教師を目指すんですか?」

「え、は、はい」

「是非実現してください。ではこれお返しします、良くできていました」

「はい、ありがとうございます」

その日、西崎は一人ひとりに短く声を掛けた。一馬もその一人に過ぎなかったが、しっかりと見つめ合えた事が嬉しく、冷静なその瞳に胸が熱くなった。
告白を決めたことで、ほんの小さな事が大切な思い出になっていく実感があった。

何も起こらないさ、きっとこのまま時が過ぎるだけ……

だが一週間が経ち、十日を過ぎると、なんとも言い難い不穏な空気が流れ始めているのを、彼は肌で感じるようになる。




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