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第11章 第１１章

一馬は無邪気な二人が羨ましかった。千紗と渋谷も、真面目に向き合っているんだろう。俺はいったい何をしていたんだと、これまでの自分に幻滅した。

「桃香と私は、一馬のやった事許せないし、文句を言い続けるから」

「そうしてくれ」

その方がありがたかった。そんな罰でいいなら、いくらでも受け入れる

「俺は言わない」

「鈴木……」

「お前は俺より数倍カッコいいけど、俺よりすげぇバカなヤツだ。それがわかってなんか安心した、ははっ」

「真似したら許さないから」と桃香に言われた鈴木は、

「好きな人が他のヤツを見てるっていう辛さを俺は知ってるし、同じ思いはさせない、へへっ」と言って照れた。

「よかったね桃香」

「……うん」

歯の浮くような鈴木の台詞も、桃香の心にはしっかりと根を下ろしているのがわかる。プラトニックな二人の関係は、一馬の胸を心地よく震わせた。