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青い残り火
第12章 第12章
今日も誰かの恋が成就するのだろうかと、ぽつり残った教室でため息をついた。
教師達の姿を見送ると、校舎内は水を打ったように静かになった。
このまま帰ってしまおう、と、芽衣は通学バッグを肩に掛けて階段を下りた。
明日、千紗と桃香に失恋したと言おう
二階の職員室を何気なく覗くと、誰もいない筈の室内で人影が動いた。立ち止まり、ドアのガラス越しに目を凝らすと、黒縁メガネの西崎澪がいる。自分の机を片付けに来たようだった。
時折ゆったりと周囲を見渡す姿は、自分の居た場所を記憶に留めようとしているのか、名残惜し気な様子が見てとれる。
芽衣は咄嗟に携帯電話を取り出し、急いで画面を操作した。
──西崎先生が職員室にいるよ
このままでいいの?
芽衣は一度読み返し、迷わず送信した。
一馬はこれで許してくれるだろうか、と思い、そして、これが彼への最後のメールだと自分に誓った。
教師達の姿を見送ると、校舎内は水を打ったように静かになった。
このまま帰ってしまおう、と、芽衣は通学バッグを肩に掛けて階段を下りた。
明日、千紗と桃香に失恋したと言おう
二階の職員室を何気なく覗くと、誰もいない筈の室内で人影が動いた。立ち止まり、ドアのガラス越しに目を凝らすと、黒縁メガネの西崎澪がいる。自分の机を片付けに来たようだった。
時折ゆったりと周囲を見渡す姿は、自分の居た場所を記憶に留めようとしているのか、名残惜し気な様子が見てとれる。
芽衣は咄嗟に携帯電話を取り出し、急いで画面を操作した。
──西崎先生が職員室にいるよ
このままでいいの?
芽衣は一度読み返し、迷わず送信した。
一馬はこれで許してくれるだろうか、と思い、そして、これが彼への最後のメールだと自分に誓った。