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青い残り火
第13章 第13章
一度強張った西崎の身体からすっと力が抜けた。なぜ?と、その目が訴えてくる。

口にした言葉に一馬自身がたじろいで茫然となり、支えを失った西崎は床になだれ落ちた。

「先生……」
 
違う
こんなことを言いたかったんじゃない

「そんな目で見ないで!」

一馬を見上げた西崎が叫んだ。

「ち、違っ、先生」

立たせようと手を伸ばした。

「……、自分で立てます」

絶対に言ってはならない事を口にした

ふらふらと立ち上がった西崎は紙袋を胸に抱え、一馬の横を過ぎていった。

「私は教師失格です、人としても……」

それが最後だった。残された彼は、腕に西崎の感触を思い出そうとした。だがそこにあった筈の温かな塊は、最後の言葉を残して冷えて消え去った。
心も身体も淫夢から覚めたように脱力し、彼は、もう二度と同じ夢は見られないと知った。

本当の事を言っただけだ
俺は悪くない
何も悪くない
自業自得じゃないか

それは消えずに燃え続ける残り火となって、恋の終焉にすり傷を残した。









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