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青い残り火
第13章 第13章
二人の想いを見せつけられた一馬は、ずっと喉に詰まっていた物が墜ちていった気がした。

どうしようもない事があるんだ
他人には計り知れないもの
立ち入れないもの

「私は教師失格です、人としても……」

そう言って去ったあの人を、どうしようもなく好きだった俺──





秋も深まり、学園内では指定校推薦入試の為の小論文や面接対策の為の授業が増えた。一馬は他校受験に挑戦する友人に敬意を払いつつ、鈴木や渋谷同様、間もなく決まる自分の未来に期待した。

時々バイトに行き、時々部活に顔を出した。渋谷は千紗と初体験を済ませたと嬉しそうに報告してきたが、鈴木は「お、俺はまだだ」と柄にもなく奥手な性格を露見させた。
校内で芽衣とすれ違う時、二人は僅かな微笑みを交わせるようになった。立ち止まって話すことはなくなっても、それは互いの心を温かなものにしていた。

一馬に一本の電話が掛かってきたのは、中庭の銀杏が色付き、受験結果に胸を撫で下ろした頃だった。




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