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青い残り火
第13章 第13章
「三島さんはお母様の隣で、黙ったまま、ずっと下を向いて大人の話を聞いてたの。でも、三つ上のお兄さんが、画商をなさっているお父様と一緒に海外に、……そう、確かにイタリアだった、そこについていくっていう事を説明された時、突然泣き出してしまって……。だからどうして? なぜお兄ちゃんとも離れなきゃいけないの? って……」
「……なんで兄妹をばらばらに分けたんだよ」
一馬の言葉には怒りが含まれていた。
「それがねぇ……、ご両親は二人を離したくなかったんだけど、お兄さん自身がお父様と一緒に行きたいって言い張ったらしくてね。……好きな絵を本格的に勉強したい、このままここにいては絶対にダメなんだ、って」
西崎が抱えていた辞典の裏表紙に、高校三年生の三嶋がいた。
離れる事を選んだ
三島は妹を愛していた
だからこそ離れようとしたんだ
遠くへ……
「兄の省吾ももう十八なので、ってお母様が仰有るのを、三島さんは泣きながら聞いてたの。お兄さんが大好きだったのね、かわいそうだったわ」
総子はアルバムを閉じ、ケースにしまいながら先を続けた。
「……なんで兄妹をばらばらに分けたんだよ」
一馬の言葉には怒りが含まれていた。
「それがねぇ……、ご両親は二人を離したくなかったんだけど、お兄さん自身がお父様と一緒に行きたいって言い張ったらしくてね。……好きな絵を本格的に勉強したい、このままここにいては絶対にダメなんだ、って」
西崎が抱えていた辞典の裏表紙に、高校三年生の三嶋がいた。
離れる事を選んだ
三島は妹を愛していた
だからこそ離れようとしたんだ
遠くへ……
「兄の省吾ももう十八なので、ってお母様が仰有るのを、三島さんは泣きながら聞いてたの。お兄さんが大好きだったのね、かわいそうだったわ」
総子はアルバムを閉じ、ケースにしまいながら先を続けた。