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青い残り火
第13章 第13章
「夏休みが終わって、登校してきた三島さんはすっかり様子が変わってしまったの。笑顔もなくなって、教室の片隅でぽつんとしてた。四人家族が二人きりになったんだものね。多感な時期に親の事情で……。でもね、……あれはいつだったかな……みんなが受験勉強で必死になってて……、そうだ、秋の終り頃、急に明るさを取り戻したのよ。先生、良い国語辞典を見つけたの。私、合格目指してがんばります、って言ってくれたの。ほんとにほっとしたわ、だってそれまでは──」

中学三年生の西崎澪が国語辞典を胸に抱いている。兄の辞典の中に自分への想いを見つけた彼女は、それを生きる糧としたに違いない。

──愛する 澪

せつない二人だった。許されない恋だった。互いに押し黙り、苦しみ、眠れずに迎えた朝がいくつもあった筈だ。

二人はわかっていた
会ってはいけないと
でも再会してしまった
そして、いなくなってしまった










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