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青い残り火
第14章 最終章
隣にいた高校生二人が席を立ち、店員がテーブルを片付けにきた。コーヒーのお代わりを頼んだ総子は、「あなたはいいの?」と一馬に訊ね、首を振る一馬を横目に携帯電話を操作し始めた。
「まったく、お父さんたらなにやってんのかしら」
「まだいいよ、ゆっくり見たいものがあるんだろ」
「一緒に歩くとさ、いつの間にか先に行っちゃうのよ。こっちはゆっくり買い物も出来やしない」
そんな母に苦笑した一馬は「二人きりなんだから仲良くしてくれよ」と言って外を眺めた。
夫が定年を迎えると夫婦二人の時間が増え、それが妻のストレスになるとはよく聞く話だ。親の様子をみるにつけ、趣味や生き甲斐は、定年後の長い夫婦生活に必要不可欠なものだと一馬は感じていた。
「あなた達もこれからが長いのよ。結婚生活って日々の積み重ねなんだから」
一馬の内心を見抜いたように、総子が矛先を変えた。
「まったく、お父さんたらなにやってんのかしら」
「まだいいよ、ゆっくり見たいものがあるんだろ」
「一緒に歩くとさ、いつの間にか先に行っちゃうのよ。こっちはゆっくり買い物も出来やしない」
そんな母に苦笑した一馬は「二人きりなんだから仲良くしてくれよ」と言って外を眺めた。
夫が定年を迎えると夫婦二人の時間が増え、それが妻のストレスになるとはよく聞く話だ。親の様子をみるにつけ、趣味や生き甲斐は、定年後の長い夫婦生活に必要不可欠なものだと一馬は感じていた。
「あなた達もこれからが長いのよ。結婚生活って日々の積み重ねなんだから」
一馬の内心を見抜いたように、総子が矛先を変えた。