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青い残り火
第14章 最終章
「わかってるさ」
「人それぞれだけどね、夫婦の在り方もそれぞれ……。あ、ほら、あんな風に……」
父親に肩車された子供が、母親に背中を支えられてはしゃいでいる。
「幸せそう……きっとお互いに、いろんなことを乗り越えて寄り添いあってきのたよ」
親子が通り過ぎると、正面の和装小物の店に止まっている車椅子が目についた。
「素敵な二人」
総子が見ていたのは肩車の親子ではなかった。車椅子の妻が指差した小物を夫が手に取り、二人が肩を寄せあっている光景だった。
「そうだね」
優しい空気が漂っていた。夫が店に入ったのは妻のお気に入りを購入するために違いない。彼を待ちながら、髪を軽く整えるその指に指輪が光った。
「あら、いい男じゃないの」
会計を終え、小さな包みを手に出てきた背の高い男。
えっ……
一馬は我が目を疑った。緩く波打った髪、鼻筋の通った面長の顔、印象的な瞳と薄い唇。時を経て年齢を感じさせる変化はあるものの、彼以外に彼はいない。
み、三島?
ドクンと心臓が跳ねた。
「人それぞれだけどね、夫婦の在り方もそれぞれ……。あ、ほら、あんな風に……」
父親に肩車された子供が、母親に背中を支えられてはしゃいでいる。
「幸せそう……きっとお互いに、いろんなことを乗り越えて寄り添いあってきのたよ」
親子が通り過ぎると、正面の和装小物の店に止まっている車椅子が目についた。
「素敵な二人」
総子が見ていたのは肩車の親子ではなかった。車椅子の妻が指差した小物を夫が手に取り、二人が肩を寄せあっている光景だった。
「そうだね」
優しい空気が漂っていた。夫が店に入ったのは妻のお気に入りを購入するために違いない。彼を待ちながら、髪を軽く整えるその指に指輪が光った。
「あら、いい男じゃないの」
会計を終え、小さな包みを手に出てきた背の高い男。
えっ……
一馬は我が目を疑った。緩く波打った髪、鼻筋の通った面長の顔、印象的な瞳と薄い唇。時を経て年齢を感じさせる変化はあるものの、彼以外に彼はいない。
み、三島?
ドクンと心臓が跳ねた。