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青い残り火
第5章 第5章
「これで戻れますね」
「えっ?」
「彼とまた」
理恵子は哀しく微笑んだ。
「まさか、……そういうものじゃないのよ、人の心って。君、人を好きになったことないの?」
「でもあの男の人、馬鹿なことをしたって、理恵子さんとの事、後悔してましたよ」
簡単な事じゃないかと一馬は思った。奪われた者を奪い返すんだから、元に戻るのが当然だと。
「そう。でも、もう遅いのよ。真琴を選んだ時点でね。 あー、今夜限りで幼馴染みだった真琴とも縁が切れる、ふふっ。破談になって、職場にもいられなくなるわね。彼、ゆくゆくは支店長になるって皆に期待されてる人なの。真琴はそこを狙ったのよ。……昌樹さんにも充分バチが当たったし、後悔すればいいわ一生。これで終わりよ、何もかも」
明るく言い放つ理恵子の顔は、少しも明るくなかった。
これから真琴はどうするのだろう、と気になった一馬も、もう俺の出る幕はなくなったのだと自分に言い聞かせるしかなかった。
「えっ?」
「彼とまた」
理恵子は哀しく微笑んだ。
「まさか、……そういうものじゃないのよ、人の心って。君、人を好きになったことないの?」
「でもあの男の人、馬鹿なことをしたって、理恵子さんとの事、後悔してましたよ」
簡単な事じゃないかと一馬は思った。奪われた者を奪い返すんだから、元に戻るのが当然だと。
「そう。でも、もう遅いのよ。真琴を選んだ時点でね。 あー、今夜限りで幼馴染みだった真琴とも縁が切れる、ふふっ。破談になって、職場にもいられなくなるわね。彼、ゆくゆくは支店長になるって皆に期待されてる人なの。真琴はそこを狙ったのよ。……昌樹さんにも充分バチが当たったし、後悔すればいいわ一生。これで終わりよ、何もかも」
明るく言い放つ理恵子の顔は、少しも明るくなかった。
これから真琴はどうするのだろう、と気になった一馬も、もう俺の出る幕はなくなったのだと自分に言い聞かせるしかなかった。