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青い残り火
第5章 第5章
中肉中背の、これといった特長のない男だった。きっちりと七三に分かれた頭髪が真面目さを醸し出してはいたが、一馬にはプライドを砕かれて怒りに震える声と、鬼の形相しか思い出せなかった。
「今日の午前中に、式の日取りも決まって、昌樹さんのご両親が二人に新居をプレゼントすることも決まったらしいの」
「え……」
「それを私に嬉しそうに報告してすぐに、目の前で君を誘ってた」
「……」
「真琴はどこまでも私を馬鹿にし続けるのよ……だから昌樹さんに連絡したの、今夜彼女の部屋に行ってみて、って。合鍵があることは知ってたし」
理恵子が真琴を呼び捨てにしたのはこれで二度目だった。
──真琴の家に行くのね
「ごめんね。私、一馬君を利用してでもあの女から昌樹さんを救いたかったの。……大丈夫、高校生の君にはお咎めなしだから、 ふふっ」
とんだピエロを演じさせられた一馬だったが、不思議と怒りは湧いてこなかった。
「今日の午前中に、式の日取りも決まって、昌樹さんのご両親が二人に新居をプレゼントすることも決まったらしいの」
「え……」
「それを私に嬉しそうに報告してすぐに、目の前で君を誘ってた」
「……」
「真琴はどこまでも私を馬鹿にし続けるのよ……だから昌樹さんに連絡したの、今夜彼女の部屋に行ってみて、って。合鍵があることは知ってたし」
理恵子が真琴を呼び捨てにしたのはこれで二度目だった。
──真琴の家に行くのね
「ごめんね。私、一馬君を利用してでもあの女から昌樹さんを救いたかったの。……大丈夫、高校生の君にはお咎めなしだから、 ふふっ」
とんだピエロを演じさせられた一馬だったが、不思議と怒りは湧いてこなかった。