この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
青い残り火
第6章 第6章
緊張して動けない千紗にもう一度「ありがとう!」と言った渋谷は急に振り返り、「なんだお前らは!」と叫んだ。
さっと開いた花道を確認した彼は、「遅刻するぞ!」の一言を残し、校舎に向かって一目散に駆けだした。
「なんだありゃ」
「行った……」
「行ったな」
丸い壁はばらばらと崩れ、小さな群れをいくつも作って教室を目指す。
興奮覚めやらぬ女子達はキャーキャーと騒ぎ、千紗を振り返りながら目指した。
残された三人はそれぞれに動揺し、その中で桃香は涙を滲ませていた。
「渋谷ったら……」
「どうしょう、私、うんて言っちゃった」
「い、言うしかないでしょ、私も惚れるわ」
「ねぇ、何で桃香が泣いてんのよ」
「えへへ、渋谷はいいやつだよ千紗、おめでとう」
そんな桃香に千紗も鼻をすすった。
「うん」
「ねぇ行くよ、遅刻する」
芽衣が先に立ち、そのあとを二人が追いかけた。
馬鹿みたい
あんな大勢の前で
恥ずかしくないの?
芽衣は丸めたメモ帳を握りしめていた。
「好きです」と、一馬に言われた記憶がない。はっきりと、その心の内を耳で聞いた事がなかった。
べつにかまわない
ちゃんと愛し合ってるもの
言葉より深く、ちゃんと愛し合ってるもの
さっと開いた花道を確認した彼は、「遅刻するぞ!」の一言を残し、校舎に向かって一目散に駆けだした。
「なんだありゃ」
「行った……」
「行ったな」
丸い壁はばらばらと崩れ、小さな群れをいくつも作って教室を目指す。
興奮覚めやらぬ女子達はキャーキャーと騒ぎ、千紗を振り返りながら目指した。
残された三人はそれぞれに動揺し、その中で桃香は涙を滲ませていた。
「渋谷ったら……」
「どうしょう、私、うんて言っちゃった」
「い、言うしかないでしょ、私も惚れるわ」
「ねぇ、何で桃香が泣いてんのよ」
「えへへ、渋谷はいいやつだよ千紗、おめでとう」
そんな桃香に千紗も鼻をすすった。
「うん」
「ねぇ行くよ、遅刻する」
芽衣が先に立ち、そのあとを二人が追いかけた。
馬鹿みたい
あんな大勢の前で
恥ずかしくないの?
芽衣は丸めたメモ帳を握りしめていた。
「好きです」と、一馬に言われた記憶がない。はっきりと、その心の内を耳で聞いた事がなかった。
べつにかまわない
ちゃんと愛し合ってるもの
言葉より深く、ちゃんと愛し合ってるもの