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青い残り火
第7章 第7章
街灯はぼんやりと光の輪を放ち、上空に浮いた三日月は、おぼろな灯りでただそこにあった。通い慣れたいつもの道は、彼の行く手を阻むように靄で霞んでいた。

一馬は美弥といた。笑顔で相槌を打っていながら、返事をするのも機嫌をとる事も億劫だった。
自宅アパートの鍵を開けながら、美弥はまた同じ話を持ち出してくる。

「あの人どうしたんだろう。一馬に必死にアピールしてたあのおばさん」

「さあ」

「しばらく来てないけど、無駄だとわかって諦めたのかな、マジうざかったよね」

玄関に入ってすぐの狭いキッチンに上がり、二人は帰り道で飲み干したジュースの缶をシンクに転がした。

「今日は疲れたね、学生が多くて騒がしかったし」

「まあね」

「シャワー浴びてくるからちょっと待ってて」

脱衣所の棚からバスタオルを取り出した美弥は、着替えの用意もせずにバスルームのドアに手をかけた。

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