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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 そしてそんな日嗣に、大蛇“達”が訴える。

 ──邪魔しないで。あの子が要るの。あの子がいなきゃ、誰も私を見てくれない。夫も、子供も。もっと私を見て。私を褒めて。私だけが、気付いたの。だからもっと私に注目して。私が沢山喋ったら、みんなは私に群れるから。
 ──邪魔するな。あの子が要るんだ。あの子とは違うと、思い込みたいんだ。見たくないから、遠くに見えるもので誤魔化したいんだ。その方が楽なんだ……。
 ──邪魔しないで。あの子を返して。あの子は私の子。私の子。お腹を痛めて産んだのよ。あの日、あの時まで大事に育ててきたの。他の言葉はなにもかも嘘、あの子はいい子、そうだと言って。言ってちょうだい。それだけでいい。それだけでいいから、あの子を私の元へ返して。あの子は私の子。私の子、私の子、私の──。

 だから、お前なんかいらない、と。
「お前──」
大蛇の形を成す禍津霊のどれもこれもが、何かを求めている。神依──ではない、おそらくあの時、まだ日嗣が拾ったばかりの少女について好き放題に語り、何かを求めている。
 ……それは日嗣も「神依」も、本来は知らないはずの世界だった。
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