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第5章 ＃4

本気で水沢さんのことを好きな女の子もたくさんいるみたいだった。


だけど私は ──。

水沢さんはあくまで尊敬できる上司。

そんな……男としてどう思うかなんて考えたことなかったよ…。

今日、何度目かのため息をつく。


「付き合ってみれば？」


「は？」


おいおい…簡単に言ってくれるなぁ。


「悪いやつじゃないんだろ？」

「まぁそうだけど…職場の人となんて色々大変そうじゃない」

「んー。その辺はちゃんと切り離して考えるんじゃないかなぁ」

「………」

「楓が楓らしくいられる相手がいいと思うよ」

「私らしく……」

確かにそういう相手が１番なんだろうな…。
飾らず、ありのままの自分でいられる相手 ──。