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好きになった人
第8章 夏―2.9
詩織side

退院してから、4日経った

熱も下がり、体はだいぶ楽になっていた

病院に行くと、直樹に会いそうで、行かなかった

毎日、誠がしつこいように、違う病院でもいいから行けとうるさい。。。

今日も、蓮と陸の帰りは遅い。。。

誠も、残業みたいで20時を過ぎても誰も帰って来ない

パートも、休みをもらっているので、家から出ない生活は、退屈だった

誰もいない家は静かで、テレビの音しか聞こえない

携帯に美代子さんから、メールが届いて、見る

星空の写真が添付してある

どこで、撮ったんだろう。。。

返事はしない。。。

赤い痕跡が消えた首をさわる

吐息がかかり、舌が這ってきたのを思い出してしまう

未練がましい感じが、イヤなのに、忘れられなくて、思い出してキュンとなる

赤い痣が消えるまではと、体調が悪いと言っては、誠から離れていた

毎晩、ベッドの端に逃げては拒んでいた

ソファーに横になると、眠くなり、うとうとしてしまう

21時になり、誠が帰ってきた音がする

目をこすりながら、起き上がる


ただいま。。。寝てたの?


おかえり

横になってただけ。。。ご飯は?


食べるよ?

先に風呂に入ってくる


浴室で着替えを用意していると、後ろから抱きしめられていく


たまには、一緒に入る?


もう、お風呂入ったよ?


首筋にキスして、舌が這ってくる


っ。。。ダメ。。。


何で。。。?


窓、開いてる。。。


私から、離れて窓に手をかけた瞬間に腕の中から逃げていく


ご飯、用意しているから、早く出てね?


詩織っ?


思わず、浴室から逃げ出した

逃げて出たのは、抱きしめられて首筋に近づいてきただけで、直樹と間違えそうになったから。。。

今までに蓄積した、小さく刺さった棘はなかなか抜けないみたいだ

食事を温め直して、用意していると、誠が出てくる気配がする

冷蔵庫から、ビールを出してるのを横目で見ると、ふいに捕まえられていく

無理やり、腕の中に引寄せていくのを抵抗すると、繋いだ指先が、微かに震える

震えることに、動揺して、抵抗を止めると、髪を撫でていく


何で、逃げてるの?


お鍋が噴いてくるよ。。。


捕まえられたまま、片手が伸びて、IHのスイッチをピッと押した


後は?














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