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好きになった人
第9章 秋ー2
直樹へ

最後に、書いた手紙はいつだったか、忘れてしまうほど、ずいぶん前なんでしょうね。。。

最後に書く手紙は、すごく緊張しています

何度も出逢わなければよかったと思った。。。

直樹の声が好きだった

本当にずっとずっと一緒にいられると思ってた

一緒にいられなくなってからも、未練ばかりあるのは私ばかりで辛かった。。。

でも、誠に出逢い、蓮を授かってからは幸せだった

再会するときは、いつも、私が弱ってる時ばかりで、直樹に逃げていたの。。。

心は、もう決まっていたのに。。。

心は、誠を選んでるのに、直樹に甘えてた

ごめんね。。。

陸は直樹に似てる。。。

声も横顔も、勝手な所も、優しい所も。。。

陸が勝手なことを言っても、許してしまう私は、陸に直樹を重ねて見てたからなんだよね。。。

本当は、愛し合って陸を授かりたかった

ずっと、直樹の子供だと気づかなかった

ごめんなさい

誠は、直樹の子供だとわかっても、俺の子供だと言ってくれた

誠の優しさに甘えて、離れられなかった

だって、直樹は私を絶対に選ばないでしょう?

1人になる勇気はなかった

ズルい私を、誠は受け入れてくれた

陸は誠の子供でもあるの。。。

誠から、陸を無理やり引き離さないで?

直樹が、少しでも父親だと言うのであれば、陸の心を1番に考えてほしい

陸は、とても感受性が高くて脆い所がある

私が死んだら、とても父親のことまでは受け入れられないと思う。。。

陸が、私の死を受け入れて、大人になった時にもう1通の封筒を渡してほしい

陸に伝えたいことが書いてあるから。。。

陸の父親として、渡してほしい

父親と名乗る気がないなら、渡さなくていい

でも、他の人から知ることになるのだけは、避けてほしい

最後まで、わがままな女でごめんね。。。

先に好きになったのは、きっと私の方だよ。。。

直樹の声に、運命みたいな出来事にドキドキした

もう、公園、図書館、本屋さんに行っても、逢えないね。。。?

どこにいるのか、何となくわかっていたよ。。。

もう、逢いにいけない。。。

ずっとずっと忘れられなかった

ずっと、好きよ。。。

最後にお願いが、あります

陸を愛してあげて。。。?

私とあなたの子供を愛してあげてほしい



PS.誓約書は粉々です 笑



詩織


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