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好きになった人
第9章 秋ー2
お母さんに呼ばれて、少し落ち着いた陸と部屋に入っていくと、お父さんは泣いていた


っ。。。詩織らしいな。。。

今にも、声が聞こえてきそうなのに、もう声も聞こえない

少しでも、長く生きて欲しかったのに。。。

もう、待っていても逢えないなんて。。。


蓮が、陸に手紙を渡していく


陸にだ。。。

落ち着いたら、読めばいい。。。

お母さんは、本気で死ぬ準備して行ったみたいだ

荷物も、何もない。。。

自分で死ぬ準備するって、すごく辛かっただろうな。。。

残された俺達は、いつまでも泣いてばかりいたら、笑われるぜ?

いつも、ふふっ って笑ってた

陸。。。?

父さんもお母さんも、陸を信じてるって言ってたろ?

いつまでも泣いてばかりいたらダメだ

泣くのは、今日で終わりにしろ。。。


っ。。。わかった。。。

本当は、わかってるんだよ

泣いたって、戻ってこないって。。。

ただ、何も知らなかった自分に、腹が立つ。。。

痕跡がなかったようなこの部屋に、確かに二人はいたんだよ。。。

まだ、信じられない。。。

病気だったなんて、きいてねぇよ。。。

っ。。。

何で母さんは最後まで、勝手なんだよ。。。?

父さんも何で母さんと一緒に逝くんだよ。。。?


陸。。。


お父さんが、陸に近づいていく


お父さんもお母さんも、死にたくて死んだんじゃないだろ?

事故なんだよ。。。

こればかりは、仕方がない。。。

お前は1人じゃない。。。

蓮がいる

俺達も出来る限りのことはしてやりたいと思ってる

詩織は、陸はまだ子供だからとよく言ってた

でも、もうあと1年したら、大学生になって1人暮らししたり大人の仲間入りしていくんだ

いつまでも、蓮を困らせるな。。。?

そんなことは、お父さんもお母さんも、望んでない。。。


っ。。。わかっているよ。。。

コーチは、母さんじゃなくても、奥さんも他の代わりがいるからだろっ?


バシンと、陸が叩かれた音が聞こえた


っ。。。わるい。。。つい、叩いた


蓮が、陸を叩いたのだ。。。


お母さんの代わりなんていないことくらい、わかっているだろ?


っ。。。ごめん。。。

でも、気持ちのやり場が見つからなくて。。。

コーチ、ごめん。。。


陸が震える手で手紙を開いていく
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