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月光の誘惑《番外編》
第3章 月に臨み、月を望む。

水森は、俺が家を訪ねることを嫌がりもせず、「あぁ、今日も来たの」と言って、千恵子さんを呼んでくれるようになった。
水森の友人ではなく、千恵子さんの客人だと思われていたのかもしれない。
けれど、水森とはクラスでもよく話すようになったし、中間や期末が近くなれば、自然と二人で試験勉強をしたし、その延長で受験勉強もするようになった。
結果として、進学する大学も学部も同じ、就職先も同じ、という腐れ縁になってしまったのだけど。
異常に気づいたのは、いつだったか。
「どんな女が好きか」「セックスとはどんなものか」という、男子高校生にありがちな話題に耳を傾けていたときだったか。
それとも、実際に女の裸体を前にしたときだったか。
かわいいと評判のグラドルの水着姿を見ても、「先生、抱いて」と看護師に押し倒されても、俺の股間は一ミリも反応しなかった。
高校生のあの日以降、オカズはずっと村上叡心の裸婦像だった。
千恵子さんに許可をもらって写真に撮り、部屋に飾ったり携帯電話の待受にしたり、オナニーのネタに使っていた。
それらを見れば簡単に勃起していたから、最初は異常だと思いたくなかったのかもしれない。
俺は、裸婦像――村上ミチ以外を目にしても勃起しない体になっていたのだ。

