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奈落
第2章 主従関係
「わ、私そろそろ帰りますっ、
電車も無くなっちゃうとだめですから」
ついさっきまで愛おしく感じていたこの空間が、
今の私には辛いものだった。
ズキズキと痛み続ける胸が、
態度や表情には出ていないだろうか。
雪村くんに嫌われるような事をしてしまう前に、
もうここから出よう。
「駅まで送るね」
ジュッと煙草の火を消し、
雪村くんが身支度をする。
送らなくていい、
今はもう一人にしてほしい。
そんな事を思っていても、
心の隅では嬉しさも感じている自分がいる。