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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 16区の恋人
「ヒカルが住むようになってなんだかこの屋敷は急に華やかな雰囲気になったね。一気に春が来たみたいだ」
うきうきした様子でジュリアンは光に話しかける。
ジュリアンは今、ソルボンヌ大学の大学院に入学し直し、美術史を学んでいる。
しかし日本贔屓の彼はすぐに日本が恋しくなり、数ヶ月に一度は帰国するので、パリと日本を行ったり来たりする日々だ。
光がこの屋敷で縣の仕事を手伝うようになってから3週間が経った。
ジュリアンはほぼ毎日、この屋敷に顔を出している。
光に会うのが殊の外、楽しいらしいのだ。
梨央に一目惚れし、未だに無邪気に恋心を抱いている彼は、どことなく梨央の薫りを感じさせる光が慕わしいようだ。
同じ大学出身と言う共通点もあり、二人はあっと言う間に仲良くなった。
年齢はそう変わらないのに、一人っ子で周りから大切に育てられてきたジュリアンは光を姉のように慕い、甘えたり我儘を言ったりする。
そんなジュリアンを光は時にはいなし、時には甘えさせてやるのだった。
まるで仲良しの姉弟のような二人を縣は微笑ましく眺めるのだった。
「ヒカルが来てから、アガタもすごく楽しそうだし。ね!アガタ!」
ジュリアンが無邪気に話しかける。
光が意外そうに縣を振り返る。
縣は咳払いをし、素っ気ない顔をする。
「…普段、側にいないタイプだからね。退屈しないよ。珍獣を見ている気分さ」
光はむっとして頬を膨らます。
「動物扱い?…縣さんは他の人には礼を重んじるのに私には結構失礼よね!」
縣はふっと笑みを漏らす。
「これは失敬。…君はか弱くて傷つきやすい女性と違い逞しいからつい口が滑ってしまうのさ」
「はあ?」
光が美しい眉を上げる。
ジュリアンが慌てて二人の仲裁をする。
「まあまあ、二人とも。喧嘩するほど仲が良いって日本の諺にあるけれど、きっとそれだよね。なんのかんの言って気が合っているんじゃない?」
「全く気が合っていないわ。ジュリアン、誤解しないでね。アガタは私みたいな破天荒な女は嫌いなの。もっとお淑やかでバージニティ溢れた淑女がお好きなの。…古臭い男よね」
ツンと澄ます光に縣は呆れたように言い返す。
「そうやってすぐに人を決めつける所は直した方がいいと思うね。君の方こそ頑固で分からず屋だ」
「なんですって?」
「まあまあ…本当におかしな二人だなあ…」
間に割り込むジュリアンはヘトヘトだ。
うきうきした様子でジュリアンは光に話しかける。
ジュリアンは今、ソルボンヌ大学の大学院に入学し直し、美術史を学んでいる。
しかし日本贔屓の彼はすぐに日本が恋しくなり、数ヶ月に一度は帰国するので、パリと日本を行ったり来たりする日々だ。
光がこの屋敷で縣の仕事を手伝うようになってから3週間が経った。
ジュリアンはほぼ毎日、この屋敷に顔を出している。
光に会うのが殊の外、楽しいらしいのだ。
梨央に一目惚れし、未だに無邪気に恋心を抱いている彼は、どことなく梨央の薫りを感じさせる光が慕わしいようだ。
同じ大学出身と言う共通点もあり、二人はあっと言う間に仲良くなった。
年齢はそう変わらないのに、一人っ子で周りから大切に育てられてきたジュリアンは光を姉のように慕い、甘えたり我儘を言ったりする。
そんなジュリアンを光は時にはいなし、時には甘えさせてやるのだった。
まるで仲良しの姉弟のような二人を縣は微笑ましく眺めるのだった。
「ヒカルが来てから、アガタもすごく楽しそうだし。ね!アガタ!」
ジュリアンが無邪気に話しかける。
光が意外そうに縣を振り返る。
縣は咳払いをし、素っ気ない顔をする。
「…普段、側にいないタイプだからね。退屈しないよ。珍獣を見ている気分さ」
光はむっとして頬を膨らます。
「動物扱い?…縣さんは他の人には礼を重んじるのに私には結構失礼よね!」
縣はふっと笑みを漏らす。
「これは失敬。…君はか弱くて傷つきやすい女性と違い逞しいからつい口が滑ってしまうのさ」
「はあ?」
光が美しい眉を上げる。
ジュリアンが慌てて二人の仲裁をする。
「まあまあ、二人とも。喧嘩するほど仲が良いって日本の諺にあるけれど、きっとそれだよね。なんのかんの言って気が合っているんじゃない?」
「全く気が合っていないわ。ジュリアン、誤解しないでね。アガタは私みたいな破天荒な女は嫌いなの。もっとお淑やかでバージニティ溢れた淑女がお好きなの。…古臭い男よね」
ツンと澄ます光に縣は呆れたように言い返す。
「そうやってすぐに人を決めつける所は直した方がいいと思うね。君の方こそ頑固で分からず屋だ」
「なんですって?」
「まあまあ…本当におかしな二人だなあ…」
間に割り込むジュリアンはヘトヘトだ。