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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第8章 洗ってあげる
彼女さん、具合が悪いの?
乗ったタクシーにて、運転手が一度だけ二人に声をかけてきた。
だが伊月は無言で返した。ミラー越しに運転手へ目配せをして、少しだけ微笑む。
その間も花菜は、彼の肩にもたれかかって動こうとはしなかった──。
──
「──…家に着いたよ」
「……」
「靴は脱げる?」
アパートに到着したタクシーから花菜を降ろし、階段を上がって部屋に入る。
そこまで抱えていた彼女を玄関で立たせた伊月は、顔を覗きながら優しく問いかけた。
「…ああ、いいや。僕が脱がせよう」
返事がなかったので、伊月は彼女の前に屈んだ。
左足から…片方ずつ
足を浮かせてローファーを取る。
それから伊月は、洗面所まで彼女の手を引いた。