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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第8章 洗ってあげる

「…ア─‥ハァ、ハァっ‥…ハァ‥!」

「頑張ったね花菜。洗い終わったよ」

脱力した花菜を後ろから支えて、耳許で彼女をねぎらう伊月。


「最後にもうひとつ、お兄ちゃんに教えて」

「…ハァ…っ‥ハァ…っ‥」

「──…キスはされた?」

「…!」


キ、ス…?

伊月が言った二つの文字が、ぐるぐると安定しない花菜の頭いっぱいに回る。

“ おっぱいを舐められて…怖い道具で責められ続けて……それから、中に挿れられて…… ”

でも、キスは──

キスはされなかった。

元から相手の男たちは、そんなことに興味を持っていなかった。


“ わたし、キスはされてない ”


けれど──


「され た……」

「──…」

「…無理やりキス…っ、された」


花菜はこの時、嘘をついた。


首をひねって後ろを向く。

そこには大好きな兄の顔がある。

絶頂の余韻で上気した顔は色っぽく、潤んだ瞳で兄を見上げた。


「いっぱい…っ…キスされたの」

「──…なら…ここも洗ってあげる」

「…っ」



──



息ができない。

温まった浴室で──彼に口付けられた花菜は、胸がつまる想いで目を閉じた。











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