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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第2章 憧れの……

地元の離島で暮らしていた時から伊月にはたくさんの友人がいた。

昔から友達と呼べる友達のいない花菜は、そんな人気者の兄が羨ましかった。

兄を羨み──でも同時に、自分は兄のようになれないことを十分に理解していたから、妬みのような感情を抱くことはなかった。

“ わたしなんかがお兄ちゃんみたいになれるわけないもん ”

いいんだ

お兄ちゃんみたいにならなくて

こんなに素敵な人がお兄ちゃんだってだけで、わたしにとっては十分な幸せだから──



「──花菜?」

「……ッ」

不意に視線を下ろした伊月とがっつり目が合ってしまったのは、花菜が彼の顔を凝視していた証拠。

花菜は慌てて顔をそらし、いつもにはない俊敏さで二歩、三歩と前に出た。

それに合わせて、チェック柄のスカートがふわりと広がる。

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