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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第10章 兄妹だから
花菜からは見えないところで彼の顔が苦し気に歪んだ。
「泣かないでくれ……!」
彼のほうが泣き出すのではと心配になるほど、瞳の膜を揺らして。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん…っ」
「──…うん…お兄ちゃんはここにいるから」
「…ッ…ず っと、…ずっと、いてね」
「うん」
「いなく…ならないでね」
「…うん、勿論だよ」
許してくれ、花菜
君を二度も苦しめるような…そんな兄にはならないから
だから許してくれ
「愛しているよ。君は僕の大切な妹だ──…ッ」
大切な君を苦しめるような真似はもうやめる
だから、どうか、泣かないでくれ──。
──…