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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第11章 虚しさという名の快楽
伊月はグラスを傾け最後の一口を口に含んでから、ベランダの窓を閉めた。
キッチンには日本酒の瓶が置いてある。
その酒は米や野菜と一緒に仕送りのダンボールに入っていた物で
添えられていた手紙を読むに、伊月へと贈られてきたなかなか値のはる日本酒だった。
コクリと伊月の喉が動き、常温の純米酒が抜けていく。
彼はあえて言えば酒に強い。しかし頻繁に飲む習慣は無く、かと言って嫌いなわけではない。
久しぶりの晩酌だった。
「…っ…少し、飲みすぎたかもな」
思えば花菜とアパートでふたり暮らしになって大学の飲み会に欠席してばかり。
友人からは付き合い悪いぞと冗談まじりに言われたが、まさにその通りなのだ。