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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第11章 虚しさという名の快楽
だから大学1年から付き合っていた同学年の女とも、ひと月前に別れた。
放課後や休日に会うことが無くなり、そして彼女の誕生日に花菜が熱を出してしまって…
プレゼントだけを渡して「ごめん、家に帰らないと」と言った伊月に我慢の限界がきたのだろう。別れ話を切り出された。
その時の伊月は「別れたくない」ではなく、ただ「すまない」と繰り返した。
許してもらおうという意図はなくそれは純粋な謝罪の言葉で──
別れを切り出した女のほうが未練まみれの涙を流していた。
「僕は駄目だね」と微笑した伊月の頬を叩いて
「やっぱりね」と残して去って行った。
聡明な彼女は気付いていたのだろう──。
花菜の容態を心配する伊月の様子が "普通でない" ことも
夜のベッドで交わう最中(サナカ)…必ず電気を付けない伊月が、暗闇の上に別の誰かを映して感じていたことすらも。
きっと気付いていたのだ。