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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第13章 戒めの快感


「……!」


いま、先輩は何を…?


「なッ……、ぇ…?」

「自分の兄貴に惚れてるだろう」

「わたしが……お兄ちゃん、に?」

「そうだ」

「……」


夢見心地だった。それが一気に何処かへ消えた。


わたしが…お兄ちゃんに抱かれたい?

抱かれ…っ

──って、そんな事、思ってる……って?


「そ…んなわけ、ハァっ、ないじゃないですか…!」


喘ぎすぎて掠れた、か細い声。

花菜はシーツを掴んでいた手を上げて、不破のシャツを両手で握った。


「お兄ちゃんはお兄ちゃんで!…わ、わたしはお兄ちゃんの妹で、お兄ちゃんは家族で!…それっ…で、お兄ちゃんはわたしのこと…っ…わたしの、こと」

「……」

「…わたしのっこと……妹としか、思って、なくて。だって妹……だから」

「……」


支離滅裂な言葉が雪崩のように口から溢れ出る。

それと一緒に


ポタ...


新たな涙も、大粒の雫となって頬の上を流れた。

とっくに枯れ果ててもいい筈なのに…まだ、出るのか。彼女の涙には際限がない。

不破への恐れも忘れてまくし立てる彼女は、何かもっと大きな恐怖に対抗するように必死だった。

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