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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第15章 汚れた安堵
「不破先輩…っ」
不破を追って走ってきた花菜は、見失った彼の姿を交差点の向こう側に探した。
赤信号に足止めを受けながら目を凝らす。
しかし前を通り過ぎていく車はなかなか途切れず、探す彼女の視界をふさいできた。
“ …っ…いた、先輩だ ”
そこで辛うじて見つけた後ろ姿──。
ああ、角を曲がってしまう。
花菜は歩行者信号が青に変わるのも待ちきれず、車の往来が止まった瞬間に車道に飛び出した。
──
「…ッ…ハァ、ハァ」
「……?」
「…不破先輩っ…ハァ、待って下さい…!」
「お前か…なんだ?」
なんとか追い付いた花菜が彼に届くように名を呼ぶと、前を歩く不破の足がピタリと止まった。
急いできたに違いない様子の彼女に向かってぶっきらぼうに問いかける。