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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第15章 汚れた安堵

そして彼女の返事を待たずに次の言葉を続けた。

「アイス、溶けてるぞ」

「ハァハァ…、えっ」

「鈍くせえな」

不破に指摘されて見てみれば、走っている間ずっと握りしめていたクレープからチョコレートアイスが溶け出していた。

落ちてしまうまさに寸前。

さらに焦って傾きを直した瞬間、溶け出たアイスが花菜の手の甲に垂れてしまった。

「わ、あ、やだ、勿体ない……!」

たまらずアイスを食べようとした花菜だが、一緒にワッフル生地も噛みちぎったせいでよけいに垂らす結果を招いた。

ポタポタと地面のアスファルトに滴るチョコレートを止めたくても術がない。

「……っ」

この無残な状況に──それを無言の不破に見つめられるというダブルパンチを食らう花菜は、もうどうしたら良いのかわからずで慌てふためく。

こんな事をするために追ってきたわけじゃないのに…!



「お前……本当、懐かしいな」

「懐かしい?え…っと、何がでしょうかっ…?」

「──…妹に似ている」

「妹…?」


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