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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第15章 汚れた安堵
カラン
伊月からプレゼントされたお守り代わりの髪飾りがソファーの下に落とされた。
花菜は気付いただろうか。
いや──気付こうが気付くまいが、彼女はそれを拾わない。
“ おにぃ…ちゃん ”
むざむざと手を伸ばして拾えるものか。
彼女の両手は男の灼熱をひたすら扱き、奉仕するのに必死だから。
“ 伊月お兄ちゃん…ッ……ごめんね ”
わたしは…こんなに、汚いの
今のわたしを見たらお兄ちゃんを幻滅させてしまうよね
嫌われちゃうよね
もうわたしは…いい子じゃあ、ないんだもの
お兄ちゃんに優しくしてもらえるような女の子じゃないんだもの
お兄ちゃんに笑いかけたり、お兄ちゃんの手料理を食べる権利すらないのかもしれない
お兄ちゃんを好きだなんて
そんなバカな事を口走るのも、許されないよね