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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第17章 いつか 離ればなれ
「いつかお兄ちゃんがわたし以外の人と一緒になって、わたし……捨てられちゃうかもしれないってそんな想像したら、すごく、すごく寂しい…!!」
「……っ」
「お兄ちゃんに大事な人ができたらわたしは邪魔者になるもの!……イヤ、そんなの嫌だよ」
花菜は話しながら、自分は救いのない我が儘なのだと自身を責めた。
伊月への想いを否定しようと不破のもとに逃げた彼女は、不破に身をゆだね、汚れ、伊月に相応しくない女にやっと変われたところなのに。
これで諦めた筈だったのに
いとも簡単に兄への未練は蘇る。
伊月がどこでどんな女をつくろうが、妹として花菜が口出しできる事はない。
なのに図々しくも心を痛め、動揺している自分…。
ああ…どう足掻いてみても…
心というものは思い通りに動いてくれないのだ。
“ お兄ちゃん…わたしのお兄ちゃん…! ”
さっきの女に奪われるなんて堪えられそうになかった。
今にも泣き出しそうな花菜のこの態度は、正真正銘の我が儘だった。