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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第17章 いつか 離ればなれ
「…何を泣いているの?」
「ごめん─ッ…なさい……」
「また君は…っ…何故いつもそうやって僕に謝るんだ」
「だって我がままだから…!!」
両手の間におさまる彼女の顔は破顔していた。
涙を流してはいない。
けれど今にも流れ出しそうな辛い表情をしているものだから、伊月は迷わず尋ねた。「どうして泣くのか」と。
どうして……
そうやって嫉妬するんだ
さんざん僕を羞悪にまみれさせておきながら、それでも希望は与えるのか
光だけは見せるのかい?
届くことのない希望を目の前に与えるだけで…──決して、掴むことを許さないのに
「僕だって、お兄ちゃんだって男なんだから女の人とお付き合いくらいするよ?駄目かな?」
「駄目っ…とか、そんなんじゃないよ。そんなんじゃないけど…!」