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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第17章 いつか 離ればなれ


「君だって…」


君だって、このままだと僕ではない誰かを

それはきっと逆らえない摂理だから



「嫌なの?寂しいかい?……それなら、僕と兄妹をやめようか」

「やめ る……?」

「…そうさ。共に生きていきたいと願えば、僕たちは他人になるしかない」

「他人?─なんで…!? 他人なんて」

「そうするしかないんだ」

花菜は両手を上げて、顔を掴んで固定している伊月の手に重ねた。

引き剥がしたいわけではなくて

耳を塞ごうとしたからだ。

けれど兄の指が邪魔をして、彼の言葉を遮断することができない。

否応なしに流れ込む──。

「他人はね、何をしようと勝手なんだ。嫌おうが裏切ろうが忘れようが、全てが自由なんだよ。
……愛することだって自由さ。だからこそ永遠を誓える」

「…ッ…違うよ!兄妹だって、自由だよ」

「…いいや、今の僕たちは奴隷だよ。愛することを強要されている僕たちは自由になれない」

「そんなことない!」

ついに暴れだした彼女の足が伊月の脚を蹴った。

伊月は近付けていた顔を引き、逃れようとする彼女を見下ろした。

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