この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第17章 いつか 離ればなれ
「君だって…」
君だって、このままだと僕ではない誰かを
それはきっと逆らえない摂理だから
「嫌なの?寂しいかい?……それなら、僕と兄妹をやめようか」
「やめ る……?」
「…そうさ。共に生きていきたいと願えば、僕たちは他人になるしかない」
「他人?─なんで…!? 他人なんて」
「そうするしかないんだ」
花菜は両手を上げて、顔を掴んで固定している伊月の手に重ねた。
引き剥がしたいわけではなくて
耳を塞ごうとしたからだ。
けれど兄の指が邪魔をして、彼の言葉を遮断することができない。
否応なしに流れ込む──。
「他人はね、何をしようと勝手なんだ。嫌おうが裏切ろうが忘れようが、全てが自由なんだよ。
……愛することだって自由さ。だからこそ永遠を誓える」
「…ッ…違うよ!兄妹だって、自由だよ」
「…いいや、今の僕たちは奴隷だよ。愛することを強要されている僕たちは自由になれない」
「そんなことない!」
ついに暴れだした彼女の足が伊月の脚を蹴った。
伊月は近付けていた顔を引き、逃れようとする彼女を見下ろした。