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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第17章 いつか 離ればなれ
「なんでそんな意地悪言うの…!?」
「……」
「…っ…嫌い!お兄ちゃんなんて…っ」
直角に近いほど曲がった首。
花菜は伊月の身体を押し返そうとしたけれど、顔を掴む彼の手はビクともしない。
精いっぱい睨んだ。
未だ微笑んだままの…いつもの笑顔を向ける兄を睨んだ。
いつもの悲しい笑顔で本心を隠そうとする兄を恨んだ。
そうやって伊月に真正面から向き合って
…そこで花菜は初めて、彼の左の頬が腫れているのに気が付いた。
「……!」
まるで誰かに殴られたみたいな……。
それを見た途端に彼女は、興奮を困惑に押さえ付けられて抵抗の力を弱めた。
そして
「ん……!」
被さってきた伊月の唇が、わめく彼女の口に蓋をしたこの瞬間──
さらなる混乱に押し潰された花菜の動きは完全に停止した。
“ キ ス…… ”
どうして 今?
「ゃ…ッ─離して…──!」
けれど受け入れることはない