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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第17章 いつか 離ればなれ
支えを失った花菜は、壁にそってズルズルと腰を下ろした。
「…ハァ…ハァ…っ」
口の中で血の味が広がる。
痛みはないから、自分の血じゃあない。
玄関のドアが開いて──そして閉まる音を耳で聞きながら、花菜は声を殺して泣いた。
こんなに苦しめたいわけじゃない
世界で一番大切なあの人を…苦しめたいわけじゃない
ただ、愛されたい
ずっとそばにいたい
彼の愛情が欲しくて
でも、欲情は怖くて
『 それなら……兄妹をやめようか 』
彼の言葉が恐ろしくて
この世界の誰よりも──彼が怖くて、堪らないのだ。
──…