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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第18章 僕を見て
昔、いつだったか
僕が夢中で読みこんだ本の一節に、こんな言葉を見付けた。
最も大切なものを、愛することは邪悪である
愛とは大いなる幸福をもたらし
幾ばく(イクバク)の不幸を与える悪魔だからである
大きな幸と少しの不幸
そのふたつを天秤にのせた時、秤がどちらへ傾き、どちらがより重く──大切なものにのし掛かるのか
この一節にはそれが記されていた。
そしてこの一節が示したとおり、物語の結末は悲恋だった。
何世紀もの間…国境を超えて読み続けられてきた文学小説。そのページに描かれた悲劇は美しく、僕だけでなく世界中の人間を夢中にさせた物語だった。