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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第18章 僕を見て
…けれど可笑しいじゃないか?
その愛が本当に邪悪ならば、ここまで多くの人を惹き付ける筈がないじゃないか。
今の僕なら騙されない。
本物の不幸は、あの本の結末のように美しくないんだ。
端から見れば滑稽で……顔をしかめるほど救いがないからこそ、人影のない世界の片隅でひっそりと葬られる。
犬も喰わない醜悪さ。
哀れみを受ける事も
美しく飾られる事もなく
語り継がれる価値などない。
あの日だ
あの日から僕は、そんな世界へ引きずり込まれ続けている。
光の届かない世界へ──。
息苦しく冷たい世界へ。
抜け出す術(スベ)はいくらでもある筈なのに、君だけがそれを許さないから。
第十八章 ~僕を見て~