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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第18章 僕を見て
嗚咽が始まる。
逃げ場のない二人きりの室内で──犯された女と、犯した男の
いったいどちらの哀しみだと言うのか。
ごめんなさい……
そんな哀しみに添えられた、この短い言葉は
声もなく、故に気付かれることもなく……
部屋の中を人知れず彷徨った。
パチ…
花菜の瞼がそっと上がり赤くなった目が虚ろに見据える。
視線の先にいる伊月は手で目元を隠し上を向いたままだった。
“ごめんなさい…ッ…”
彼がこちらに気付く前に、花菜は再び目を閉じる。
鼻をすすらぬよう
声をあげないよう唇を噛み締め
自身の泣き顔を見られないように……反対側へ首を捻った。
──…