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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第20章 溺れた兄妹



──…


「はぁっ、はぁっ」

その後、担任教師の車で病院に到着した花菜。

駐車する前にひとり飛び出た彼女は、風除室の自動扉をぬけて中に入った。

総合窓口のあるだだっ広いエントランスは、もう日暮れの時間だと言うのに診察待ちの患者で溢れている。だが血相を変えて駆け込んできた花菜の異変に気付いたのは何人だろうか。

「お兄ちゃんはどこにいますか!?」

そんな周囲の人間がぎょっとするような大声で彼女が叫んだ。

「お兄ちゃんはどこですか!? 会わせて下さい!」

「おっ、落ち着いて下さい」

彼女は受付のほうまで行かず、たまたま近くを歩いていた白衣の男を捕まえて尋ねた。

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