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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第20章 溺れた兄妹
彼女を追って、少年は自ら飛び込んだ。
助けたかったのだろう。
泳ぐすべさえ知らない彼女を助けようとしたのだろう。
だが少女が落ちた水の底はあまりに深く、引き上げる事はできなかった。
そして、いつから……だろうか
二人は水の中に溺れたまま、そこに棲み着く道を選んだのだ。
今となっては、少女はすっかり暗い水底がお気に入りだ。
時おり現る微光に魅せられ水面を目指そうともするけれど……結局、戻ってきてしまう。
少年は──
少年だけでも、戻る事は確かにできたが
ひとりぼっちを怖がる彼女が寂しがって泣くものだから、一緒に留まるしかない。
とても息苦しいし、時々、死にたくなる。
……それでも彼女がいない地上では生きていける自信がなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
ならさ
もう、生きていても仕方がないよね。
そろそろ投げ出してもいいんじゃないかって…
だからさ。……ね?
どうだろうか。
僕は妙案だと思ったのだけれど。