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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第21章 眠り姫の呪い
「……呪われてんのか、あんた」
「…ッ…ははは!すごい、ぴったりな言葉…」
話し終えた伊月が、不破の返しを聞いて高笑う。
もともと周囲の注目を浴びていた二人だから、突然伊月が大声を出したことで廊下がざわついた。
それを察して、伊月は肩をすくめる。
近くの生徒達にひと通りの愛想笑いをすませ、彼は最後に不破に向けて微笑した。
「……と、つまらない話に付き合わせてごめん。僕はこれで帰らせてもらうよ」
それから、もう二度と会わないであろう不破の横を通り過ぎる。
歩き方が少しぎこちないのは
…もしかしたら、引き留めてほしかったのかもしれない。
それでも伊月は早く下に降りて、校門で花菜を待たなければならない。
今日の放課後は二人でケーキ屋へ立ち寄る約束になっている。
数日前からの約束なのだ。
花菜はずっと楽しみにしている。
昔のように──
兄と一緒にケーキを分け合い食べるのを、心の底から待ち望んでいるのだ。
───…