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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第4章 発芽
助かった!
逃げ出すチャンスができた。
一歩…二歩と下がった花菜は、彼等がこちらに向き直る前にダッシュで出口へと向かった。
屋上から出て、後ろ手に扉を閉める。
「ハァっ…ハァっ…」
閉めた扉に背を預けてずるずるとその場に腰を下ろした。
階段に他の生徒はいない。
まだ登校者は少ないようで、混乱する花菜を逆撫でするような騒音がない静かな校舎──
ドキン...ドキン....
はっきり聞こえるのは、自分の心臓がざわつく音。
『 正しいのはお前だろう 』
ドキ..
“ すごく冷たい…あの目…あの声。何なの?あの人……っ ”
どうしてあんな人が、わたしのことを認めてくれたの?
わからない…わからない、わからない
教えて、誰か
「ヘン、だよねこんなの……!!」
落ち着かない動悸(ドウキ)。こんな気持ちは間違っているに違いない。
これは毒だと、追い出そうとしたところで
すでに手遅れとなった感情が彼女の中に芽を出していた──。
“ 『フワ』って、呼ばれてた…… ”
──…