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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第5章 狼の本性

無条件に優しい伊月と暮らす花菜は、そもそも突き放した言い方に慣れていないのだ。
どこかへ行けと言われたところで…
すんなりと受け入れて引き下がるほど彼女は冷静でいられなかった。
互いに見合ったまま動かない二人は、廊下の真ん中で他生徒の注目を浴びる。
ボソ..ッ
「2年の不破先輩と……え、あの女の子誰?」
「なぁ~んか険悪じゃない?」
遠巻きに見る外野からコソコソ話が始まると
不破は大きく舌打った。
「チ…ッ」
自分から去ることに決めた彼は
花菜に背を向け、もともと向かっていた方向へと足を踏み出し…
すると
「待って!!」
「…ッ─!?」
花菜の両手が、不破の左腕を掴んだのだ。

